居候部屋の本棚
あるいは,積ん読本リスト


1999年上半期



ジャック・ケルアック
『地下街の人びと』
真崎義博訳 新潮文庫 1998年第2刷(1997年第1刷) 438円
[1月15日]


『現代思想』
1999年1月号
特集「ジェンダー・スタディーズ」 青土社 1999年 1300円
[1月15日]
●そう,すべては「うるうるテスト」から始まった…….そんで玉砕.
●そんで拙者は喝采、快哉。――庵主


太宰治
『グッド・バイ』
新潮文庫 1980年第19刷(1972年初版) 280円→110円
[1月16日]
●太宰後期の作品集.前に岩松了が太宰の戯曲は自分が好きなチェーホフと似てると書いてた.これには2戯曲所収.


筒井康隆
『みだれ撃ち涜(とく)書ノート』
集英社文庫 1982年7月第2刷(6月第1刷) 360円→140円
[1月16日]
●とりあえずこの手のものは後学(?)のために.


筒井康隆
『言語姦覚』
中公文庫 1986年初版 340円→120円
[1月16日]
●収録エッセイ「人生の設計」「真実の文学」「超虚構宣言」などをパターナリスティックに即読.


ロラン・バルト
『テクストの快楽』
沢崎浩平訳 みすず書房 1997年第14刷(1977年第1刷) 2100円
[1月21日]
●寄せては引く感覚の流れとよどみ.理性とは対極にあるかのような脳の営み.


ロラン・バルト
『恋愛のディスクール・断章』
三好郁朗訳 みすず書房 1995年第15刷(1980年第1刷) 3500円
[1月22日]
●かつて(いや今もか)小生が狂おしく求めたモノの断片. かくて恋せし者の語りていわく……
●対幻想は唾棄できる、けれどその後が問題。中身がちがうだけで結局は幻想なのではないか、単によりマシな幻想だというだけのことなのではないか。――庵主


ジャック・デリダ
『盲者の記憶』
鵜飼哲訳 みすず書房 1998年12月第2刷(11月第1刷) 3600円
[1月22日]
●「見る」って何だ?


ハンス=ゲオルク・ガダマー
『真理と方法 1』
轡田収/麻生建/三島憲一/北川東子/我田広之/大石紀一郎訳 叢書・ウニベルシタス 法政大学出版局 1998年第7刷(1986年第1刷) 3400円
[1月22日]
●「わかる」って何だ? 読破できるかが超問題.


江原由美子編
『性・暴力・ネーション』
フェミニズムの主張4 勁草書房 1998年第1版第1刷 3400円
[1月22日]


春日直樹
『太宰治を文化人類学者が読む』
新曜社 1998年初版第1刷 2000円
[2月4日]
●人間の生活とは何か.この世を成り立たしめている根拠など何もないと言い切ったあとに来るのは強さか,それとも弱さか.アレゴリーの可能性.


J.D.サリンジャー
『フラニーとゾーイー』
野崎孝訳 新潮文庫 1997年第49刷(1976年第1刷) 476円
[2月4日]
●小生,自己同一性の遍歴を披瀝.ホールデン(大学入学当初)→ゾーイー(学生時代後期)→フラニー(就職直後から)→これ以後いまに至るまで三者混淆状態となる…….
●ああ、ナルホド、と納得したいところだが、あいにく『フラニーとゾーイー』は遠い昔に読んだきり、忘却の彼方。――庵主


細見和之
『アドルノ』
現代思想の冒険者たち15 講談社 1997年第3刷(1996年第1刷) 2524円
[2月4日]
●主体と客体…….正−反−合の合とは何か.それは,自分のもとに他なるものをくるみ込むことになってしまうのではないのか.一体どうすれば他者と向き合えることができるのか.ここで思わず発せられる絶叫のわけは,小生自身の存在の危機にある.他を認識しないと己の確かさが犯される.なぜなら小生の己は,他に認められて初めて存在できるからなのです.人は弁証法を越えて更なる否定弁証法へ至れるか.
●己は他なくしては存在しえないものなのだー。では他すらも存在しなかったらどうなるのだー。――庵主


高山博
『ハード・アカデミズムの時代』
講談社 1998年第1刷 1600円
[3月12日]
●著者によれば,ハード・アガデミズム=新しい知を創造する行為,ソフト・アカデミズム=既存の知を伝える行為.読書中,しきりに母校のリベラル・アーツ理念にそこはかとない不信の念がよぎる.(先生ゴメンナサイ.)読後,とどのつまり消化するのは常に自分でしかなく,その行為はつまりハードでしかないのだと勝手に合点.


R.グハ/G.パーンデー/
P.チャタジー/G.スピヴァック
『サバルタンの歴史』
竹中千春訳 岩波書店 1998年第1刷 3000円
[3月15日]
●認識している自分を疑うと,小生の場合,不自由になる.それは悪しき「近代」なのでしょうか.


青木保
『逆光のオリエンタリズム』
岩波書店 1998年第1刷 2100円
[3月19日]
●オリエンタリズムとはどこまでも悪者なのだらうか.開きなおるのは思考停止でしかないけれど,全部否定しちゃうとドグマに陥ってしまう.


宮沢章夫
『ヒネミ』
白水社 1999年第2刷(1996年第1刷) 1900円
[3月19日]
●記憶と地図.過去,過去,過去.白昼夢によみがえるあの道を,辿りなおすのは死刑宣告のあとでいい.


J.D.サリンジャー
『大工よ,屋根の梁を高く上げよ
 シーモア−序章−』
野崎孝/井上謙治訳 新潮文庫 1986年第13刷(1980年第1刷) 360円→140円
[3月22日]
●なにゆえ彼は自殺する必要があったのか.結局そのわけも真相も語られない.残された者が語れるのは,ただ,思い出にすぎない.それ以上でも以下でもない.なんて不完全な.


J.D.サリンジャー
『ナイン・ストーリーズ』
野崎孝訳 新潮文庫 1992年第43刷(1974年第1刷) 400円→160円
[3月22日]
●サリンジャーの隠遁のわけは何だ? 書けなくなったからか.それとも書く必要がなくなったからか.
●それを解くカギは『J.D.サリンジャー作品集』(文建書房刊)の中に……ないけど、でもこの短篇集もおもしろいっす。――庵主


福永武彦
『夜の三部作』
講談社 1970年第5刷(1969年第1刷) 680円→200円
[3月22日]
●後輩が言った,「最近神について考えてるんだ」.小生が応答した,「最近死について考えてるんだ」.そう,我らだめ連!
●ホンモノのだめ連のホームページはこちら。――庵主


太宰治
『晩年』
新潮文庫 1980年第59刷(1947年第1刷) 280円→110円
[3月22日]
●「白状し給え.え? 誰の真似なの?」フン.そんなの誰にも教えない.


太宰治
『ヴィヨンの妻』
新潮文庫 1984年第59刷(1950年第1刷) 240円→100円
[3月22日]
●頭のなかで鳴り響くトンカチの音.それが一瞬やむ折りに,こうしてページを更新できたりする.
●次にトンカチの音が鳴り止むのはいつかなー。――庵主


諸星大二郎
『暗黒神話』
創美社発行/集英社発売 1988年第1刷 780円→480円
[3月24日]
●庵主氏骨折病棟に見舞いの折り,その傷床にて発見.マタガシしてくんなかったので,思わず紅い梅.
●だから拙者の傷床の傍らで読了しちゃえばよかったのに。――庵主


山本直樹
『夏の思い出』
太田出版 1998年第11刷(1994年第1刷) 1300円→800円
[3月24日]
●悲しい哉,「天国の扉」.恋愛における対象との一体感と,神秘体験における神との一体感とは紙一重っちゅうこと.その差は,求めよさらば与えられるか否か.だから,初めから与えられてるっちゅうのは天国なわけですよ.表題作「夏の思い出」は大久保清事件がモチーフ.「有害」なので青少年は読まないように(笑).
●もう読んじゃったよぅ。どうしよう。――庵主(青少年)


太宰治
『走れメロス』
新潮文庫 1990年第51刷(1967年第1刷) 320円→130円
[4月3日]
●敵は自己の中にいる,とあの人は言う.いいや敵は外にある,と我は言う.責任転嫁,我田引水,生まれてすみません.と言ってすみません.


太宰治
『斜陽』
新潮文庫 1986年第81刷(1950年第1刷) 220円→100円
[4月10日]
●これだけ「太宰」が並ぶとあらぬ誤解を招きそうでコワイ.でもさ,いいぢゃない,スプリング・チキンで.Just, leave me alone!
●スプリング・チキンとは青二才の意、念のため補足。――庵主


ヴァルター・ベンヤミン
『近代の意味』
ベンヤミン・コレクション1 浅井健二郎/久保哲司訳 ちくま学芸文庫 1998年第4刷(1995年第1刷) 1500円
[4月14日]
●シンボルとアレゴリー,この違いはデカイ.


中川千夏
『詩とは何か 罵倒詩華抄』
思潮社 1998年第1刷 2800円
[4月14日]
●逆説的詩学大全.詩は滑稽だし,詩人も滑稽だ.なぜなら,「無言でいることの心地よさを知りながらぼくは無言を怖れている」からだ(谷川俊太郎『世間知ラズ』).第3の居候部屋(つまりは仕事場)にて積ん読.


鶴見太郎
『柳田国男とその弟子たち』
人文書院 1999年第3刷(1998年第1刷) 2300円
[5月2日]
●マルキシズムと2つのミンゾク学.


松村一男
『神話学講義』
角川叢書5 角川書店 1999年初版 2800円
[5月2日]
●きみは永遠回帰の道を選ぶか,それとも終末への道を選ぶか.
●はーい、後者でーす。ってそりゃ言わずもがなか。永遠なんておそろしすぎる。――庵主


四方田犬彦
『星とともに走る』
七月堂 1999年第1刷 2600円
[5月2日]
●……本頁が目指す1つの形.あ,言っちゃった.1979年から1997年まで『ガロ』に綴られた日録集.
●聞き捨てならんな。なにを目指すって? ――庵主


今谷明/大濱徹也/
尾形勇/樺山紘一編
『20世紀の歴史家たち1』
日本編上 刀水書房 1997年第1刷 2800円
[5月16日]
●終末への道を選ぶために.


尾形勇/樺山紘一/木畑洋一編
『20世紀の歴史家たち3』
世界編上 刀水書房 1999年第1刷 2800円
[5月16日]
●楽しい週末のために.


デュルケーム
『自殺論』
宮島喬訳 中公文庫 1998年第11刷(1985年第1刷) 932円
[5月29日]
●もと社会学徒,庵主氏のオススメ.嗚呼,庵主よ,きみは今でも良くも悪くも社会学徒なのだ.且つ「世界の終わり」の住人だ.そんで,21世紀の老年を語る中カトーだ.だからきみは,居候部屋の共同幻想をも超越する.ウフ.
●これは一応ほめられているんだろうか、それともおだてられているんだろうか、まあいいや。書生くんの挑発にのってあげると、デュルケムのこの著作は圧倒的な力強さに満ちている。それがまたイヤミじゃないんだからすごい。社会学なんてくだらないんじゃなかろうか云々と悩んでいた拙者をふっきらせたもののひとつ。ふっきらせたものはほかにもあるけど、それもまあいいや。――庵主


長谷川眞理子/
三中信宏/矢原徹一
『現代によみがえるダーウィン』
ダーウィン著作集別巻1 文一総合出版 1999年第1刷 2800円
[5月29日]
●適者生存のウソ.偶然性のホント.嗚呼,それもまた思想.


高橋哲哉
『デリダ』
現代思想の冒険者たち28 講談社 1999年第3刷(1998年第1刷) 2524円
[5月29日]
●使いたくない言葉ベスト1に輝けし「ポスト・モダーン」の言い替えのために.


三島憲一
『ベンヤミン』
現代思想の冒険者たち09 講談社 1998年第1刷 2816円
[5月29日]
●アレゴリーでアレゴリーを語ってるんだもん. ベンヤミンは難しいはずさっ.


『批評空間』
第2期第12号
「アドルノのアクチュアリティー」 太田出版 1997年 2200円
[5月29日]
●柄谷行人曰く,「自己を無限にしようとしたら,逆に死ぬほかない.だから,理性が自己の無限化に向かう欲望をもっているかぎり,理性そのものが「死の衝動」なんだ」.まさしく中ザワヒデキ画伯の言うとおり,近代の行き着く先は死であった.つまりそれが歴史なんだ.
●中ザワヒデキ『近代美術史テキスト』(トムズボックス刊)参照のこと。中ザワ氏の『西洋画人伝』の上梓が待ち遠しい。――庵主


森嶋通夫
『智にはたらけば角が立つ』
朝日新聞社 1999年第1刷 1800円
[5月29日]
●智はなくとも角だけは立つ.とかくこの世は生きにくい.しみじみ.


浜田義文編
『カント読本』
法政大学出版局 1994年第2刷(1989年第1刷) 2987円→1200円
[5月29日]
●カントはやっぱり相当偉いらしい。長部日出雄『反時代的教養主義のすすめ』(新潮社刊)参照。――庵主


村上春樹
『世界の終わりとハード
ボイルド・ワンダーランド』
上下
新潮文庫 上1998年第29刷(1988年第1刷) 590円→300円 下1998年第28刷(1988年第1刷) 552円→270円
[5月29日]
●でもね,意外に自分の中だけに留まるってのはつまらないものだよ.(←この言説のポイントは「意外に」って言うところ.)
●それ以前に、自分の中だけに留まるってのは不可能だと思う。……これを言っちゃあおしまいか? ――庵主


トマス・H・クック
『緋色の記憶』
鴻巣友季子訳 文春文庫 1999年第9刷(1998年第1刷) 543円→220円
[5月29日]


カント
『純粋理性批判』上中下
岩波文庫 上1998年第50刷(1961年第1刷) 600円 中1998年第43刷(1961年第1刷) 600円 下1998年第42刷(1962年第1刷) 700円
[5月31日]
●ゆかいな衝動買い.
●ふつう衝動買いするか、こんな本。……するか、この人の場合。――庵主


M.K.ガンジー
『ガンジー・自立の思想』
田畑健編/片山佳代子訳 地湧社 1999年初版 1900円
[6月2日]


文藝春秋編
『孤高の鬼たち』
文春文庫 1992年第3刷(1989年第1刷) 440円
[6月7日]
●井伏鱒二による太宰論収録の由.


萩原朔太郎
『詩集 月に吠える』
精選名著復刻全集 日本近代文学館 1980年第11刷 ?→1000円
[6月20日]
●アン・カット本.つまり,16ページずつ袋とじのママ.1ページ1ページ切りながら読みすすむのがフランス貴族風.
●読む前に全ページをざくざく切り開いてしまうのが、ミカン箱入り娘として育った庵主風。――庵主


太宰治
『晩年』
精選名著復刻全集 日本近代文学館 1980年第11刷 ?→1000円
[6月20日]
●上と同じくアン・カット本.
●上述したごとく拙者がざくざく切り開いて読んだのは、金子光晴『こがね蟲』。――庵主


太宰治
『もの思う葦』
新潮文庫 1995年第33刷(1980年第1刷) 440円→180円
[6月20日]
●酒は All or nothing が良い.人に嫌われる覚悟さえあれば…….


山田晶
『トマス・アクィナスの
キリスト論』
長崎純心レクチャーズ1 創文社 1999年第1刷 1900円
[6月24日]
●この世に絶対なるものはあるか.ないと言って笑う奴.ないと言って泣く奴.あの世にゃあると言ったって,それを言うのがこの世なら,解脱をしても問いは残る.罪のアントを教えてくれ.


小田垣雅也
『ネオ・ロマンティシズムと
キリスト教』
創文社 1998年第1刷 2800円
[6月24日]
●美的感動を最後の根拠にして,人は真理を手にすることができると著者は言う.アドルノの理論とどうつながるか.
●真理を手にしたと信じることはできるかもしれないが。――庵主


村岡晢
『近代ドイツの精神と歴史』
創文社 1981年第1刷 5000円
[6月24日]
●ドイツロマン主義と近代.そこでは神秘主義,ナショナリズム,ファシズムなどなどがグッチャリとからまる.


島田雅彦
『優しいサヨクのための嬉遊曲』
福武文庫 1997年第18刷(1985年第1刷) 437円
[6月28日]
●心情右翼は,ファッション・サヨクと無縁であり得るか.
●うっわー、この本、懐かしすぎ。でもなーんも覚えとらん。――庵主





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