居候部屋の本棚
あるいは,積ん読本リスト


1998年下半期


岡本太郎
『沖縄文化論』
中公文庫 1996年 660円
[8月6日]
●石原慎太郎『秘祭』と同様にこの本も沖縄イコール貧しいという前提のある時期に書かれたものなのだろう.そのマイナスイメージを払拭するために「日本文化の根源」という地位を付与しているが,今となってはその二元論もナンセンスに思える.


大森荘蔵
『物と心』
東京大学出版会 1997年第12刷(1976年初版) 5000円
[8月7日]


小熊英二
『〈日本人〉の境界』
新曜社 1998年初版第1刷 5800円
[8月7日]
●沖縄論の把握のために読破(まさしく「読破」と言うにふさわしき分厚さ).周辺の運動・言説を位置づけることができる.伊波普猷,柳宗玄に客観的になれる視点.
●ってことは、これは単なる積ん読本じゃなくてちゃんと読んだんだね、例外的に。――庵主


ルードウィヒ・
ウィトゲンシュタイン
『色彩について』
中村昇/瀬嶋貞徳訳 村田純一解説 新書館 1998年第3刷(1997年初版第1刷) 1800円
[8月28日]
●疑問の断章的日常.


マヌエル・プイグ
『ブエノスアイレス事件』
鼓直訳 白水Uブックス63 白水社 1997年第7刷(1984年第1刷) 950円
[8月28日]
●ウォン・カーウァイ監督「ブエノスアイレス」(香港)の発端となったことは超有名.
●そうなの? 知らなかったあ。「ブエノスアイレス」は観たんだけどな。――庵主


モーム
『雨・赤毛』
中野好夫訳 モーム短編集1 新潮文庫 1989年第50刷(1959年第1刷) 140円→100円
[8月30日]
●愛の反対は憎しみではなく,無関心である.
●うんうん。たまには(?)いいこと言うやん。――庵主


モーム
『太平洋』
河野一郎訳 モーム短編集2 新潮文庫 1983年第31刷(1960年第1刷) 240円→100円
[8月30日]


高良倉吉
『「沖縄」批判序説』
おきなわ文庫 ひるぎ社 1997年9月第2刷(7月初版) 900円
[9月18日]
●那覇空港に来ると必ず「おきなわ文庫」を買って帰る,とどこかで誰かが書いていた.オキナワの感覚をつなぎ止めておきたくて帰るまぎわに購入.


辻まこと
『画文集 山の声』
東京新聞出版局 1971年 1600円→?
[9月18日]
●買ったあとで気づく.そういえば文庫版(ちくま文庫)持ってる…….
●そんなら文庫版のほうは入院祝い(あれ?)として拙者にプレゼントしてくれてもよかったような……いやいや、貸していただけただけでも光栄っす。――庵主


辻まこと
『ノイローゼよ さようなら』
みすず書房 1985年 1200円→?
[9月18日]
●なぜか心理学の棚で発見.


目取真俊
『水滴』
文藝春秋 1997年10月第2刷(9月第1刷) 1000円
[9月23日]
●ま,たしかに「マジック・リアリズム」かも.


池上永一
『風車祭(カジマヤー)』
文藝春秋 1997年第1刷 2476円
[10月7日]
●小生もこれを読んでいる頃はマブイ(「魂」という意味の沖縄語.著者は「アイデンティティー」と意訳)を落としていた…….
●著者にケチをつけるつもりはないが、「マブイ」を「アイデンティティー」といってしまうと、なんだか違和感があるような、……いや、わかってないけどね、マブイのイデアなぞ、拙者には。――庵主


石川文康
『カントはこう考えた』
筑摩書房 1998年初版第1刷 2000円
[10月8日]
●心情保守でもいい,理性ですべてに説明を付けたい.ダメ?
●ダメじゃない。っていうか、そうしたいんならそうすればいいんじゃないの、別に。――という反応を期待されているような気がして書いてみただけの庵主


『批評空間』
第2期第19号
「共同討議カントのアクチュアリティ」 太田出版 1998年10月 2200円
[10月8日]
●カントの「コペルニクス的転回」における2重の意味.すべてのものは思った通りに存在するという意味.あるいは,自分が中心ではなかったという意味.カントの生きたインターナショナルな時代状況(フリードリヒ大王).など盛りだくさんにて消化しきれず.
●おなかをこわしませんように。――庵主


宮台真司/藤井良樹/中森明夫
『新世紀のリアル』
ライターズ・デン・ブックス1 飛鳥新社 1997年第1刷 1300円→800円
[10月18日]
●これは買うしかないでしょう.


奥村和子/桜井厚編著
『女たちのライフストーリー』
谷沢書房 1997年初版 2500円
[10月30日]
●いつか(といっても早めに),4人の祖父母の生き残り,母方の祖母の聞き書きをしなくちゃな.大正デモクラットの駆け落ちの話なんかを.


天空企画編
『沖縄カルチャーブック 
ウチナー・ポップ』
東京書籍 1997年第4刷(1992年第1刷) 1845円
[11月1日]
●沖縄音階とは如何なるものなのでしょうか.民族それぞれの感じる心地よい音階と,西洋音楽の体系化された音階との違いとは何ぞや.
●音楽はそもそも数学だったんだもんなあ。――庵主


出久根達郎
『古本綺譚』
中公文庫 1996年10版(1990年初版) 580円
[11月2日]
●蔵書は人の心を表すので,人の蔵書を見てしまうことは薄気味悪いことなんだという.つまり,このページも一種のサイコ・ホラーなのであります.そこのあなた! 気づかないうちに,すでに小生とシンクロしかけてるよ.
●書生の心を知り尽くしている拙者にとってはホラーでもなんでもないがね。――と言いたいけど言えない庵主


平田オリザ
『演劇入門』
講談社現代親書 1998年第1刷 640円
[11月4日]
●著者が前から言ってきた民主主義と現代口語演劇との関係は,この本の方がわかりやすい.近藤恒一『ペトラルカと対話体文学』の話にもつながる.


モーム
『手紙・環境の力』
田中西二郎訳 モーム短編集3 新潮文庫 1971年第11刷(1961年第1刷) 90円→100円
[11月8日]


モーム
『コスモポリタン1』
龍口直太郎訳 モーム短編集11 新潮文庫 1976年第20刷(1962年第1刷) 240円→100円
[11月8日]


チェーホフ
『桜の園』
湯浅芳子訳 岩波文庫 1982年第42刷(1962年第19刷改版,1950年第1刷) 150円→100円
[11月8日]


チェーホフ
『退屈な話・六号病室』
湯浅芳子訳 岩波文庫 1986年第22刷(1963年第1刷) 300円→150円
[11月10日]


脇村義太郎
『東西書肆街考』
岩波新書 1998年第5刷(1979年第1刷) 660円
[11月16日]


辻まこと
『山からの絵本』
創文社 1998年第13刷(1966年第1刷) 3200円
[11月18日]
●たとえば「世界」という言葉.辻まことは初めての山,甲斐駒ヶ岳でその言葉を反芻したという.それにはいたく同感する.なぜならそこでは,自分が一個のものとして独立すると同時に,すべてに溶解するからだ.


『現代思想 臨時増刊 カント』
青土社 1997年第2刷(1994年第1刷) 1600円
[11月20日]


『理想』
650記念号
「特集 実存思想の『現在』」 理想社 1992年 2000円
[11月20日]
●ソンザイ…….そうつぶやくと嗚咽してしまう,今日この頃の書生なり.


中村雄二郎
『チェーホフの世界』
白水叢書43 白水社 1979年 1500円→1000円
[11月21日]
●副題「私の方法序説」!そんでまたサイン本!


バンクス夫妻
『ヴィクトリア時代の女性たち』
河村貞枝訳 創文社歴史学叢書 1980年第1刷 1800円→700円
[11月21日]
●名著なのに品切れ.帝国主義とジェンダーとの相関.


池上永一
『バガージマヌパナス
 わが島のはなし』
文春文庫 1998年第1刷 562円
[12月9日]
●『風車祭』の作者のデビュー作.


高橋和巳
『悲の器』
新潮文庫 1995年第41刷(1967年第1刷) 640円
[12月19日]
●学問のアクチュアリティーとは何か.学問の功罪.罪は語られやすいが,守りに入らない攻めの功を語る言葉を小生は探している.平田オリザが,次回作で市民運動の破綻を描くという話になった時にこの本の名をチラリとあげていた(99年公演「海よりも長い夜」).
●こんど貸して。――庵主





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