チャン・マリーの香港熱病日誌〜2000年黄金週間

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            5.1

緑の島、ランタオ島に渡るの巻


憧れの重慶大厦


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←部屋から望む香港島。今日は朝から快晴だ


香港行きが決まってから、当然のごとく決まっていたこと。それは香港に住む友だちに会うことだった。かつて一緒に山に登ったミドリと、今日は会う約束をしている。在6年の間に8回住まいを変えたという彼女の現住所は、新しい国際空港のあるランタオ島だ。九龍や香港島の活気とは違った香港の生活面をかいま見たいと、親連れで訪問させてもらうことにした。


お昼時、シェラトンのロビーで1年半ぶりにミドリと再会すると、一気に香港が身近になった気になる。重慶大厦(チュンキン・マンション)においしいインド料理屋があるということでさっそく案内してもらう。重慶大厦は、ウォン・カーウァイの映画が好きな方には言わずと知れた名所。「恋する惑星」(原題「重慶森林」94年)の舞台となったことは有名だが、その入口にはインド人の男達がたむろしていて一般観光客にはなかなか敷居が高い。ミドリが平気な顔で入っていくので、小生もこわごわながら素知らぬ顔で一歩を踏み出す。けれど彼女、レストランの場所を覚えていない。(以前はもっと客引きが激しく、そのうちの誰かについて行けばレストランにもたどり着けたという。)この流浪インド人たわむれる中で『地球の歩き方』を出せとのたまう。いくらなんでも重慶大厦内のレストランまで載ってねぇよ。しばらく、崩壊過程にある階段を上ったり下りたりドアの中を覗いたりしたが、それらしい気配がない。ミドリがインド人のおばさんに聞いてみるが、彼らもここのすべてを知っているわけではないらしい。インド人の兄ちゃんは5階だと教えてくれたが、行ってみても鉄格子が閉まっている。途中、踊り場から外に出てみると、今にも崩れてきそうなコンクリートの建物が視界をさえぎり、上を見上げるとポタポタと水滴が落ちてくる。雨じゃなくても、なぜかいつも香港の建物の床は濡れている。
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いつかここに泊まることもあるんだろうか→



どうやら重慶大厦はいくつかの棟に分かれていて、きっとミドリはかつてその中のどこかの棟のどこかの階でインド料理屋を見つけたのだろう。取り合えず、いったん1階まで下りてまた別の階段を上ると、4階にようやくレストランらしきものが……。店の名前は「PAKISTAN MESS」。もらった名刺によれば、ここはブロックCに位置するらしい。中のターバンおやじがにこやかに我々を手招きする。むむ、入らねばならぬか。客はまだ我々2人と、さっき手招きしていたこの店の主(ぬし)と思しきおっさん1人。テレビでやってるのはパキスタンの番組か。適当に野菜カレー、魚カレー、シシケバブ、ナン、イエロー・ライス、ソルティー・ラッシーを注文する。シシケバブはいまいちだが、他はとてもお口に合う。特にイエロー・ライスがおいしい。
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←見た目もよろしくないシシケバブ


ミドリによれば、この重慶大厦に入って食事をしようなんていうのは外国人だけで、香港人を誘うと大変驚かれるそうだ。「彼らには偏見があるんじゃないか」とミドリはそう言うが、あの門構えを見れば警戒度120%になっちゃうのが普通かも。映画「恋する惑星」にあった、インド人が家族総出で麻薬を帰国荷物の中に詰め詰めするというシーンが、どうしても頭にこびりついてるんだよね。


重慶大厦を出たら、ミドリさんご推薦、チェーン店の台湾お茶屋さん「仙跡岩」に連れていってもらう。定番は、カップの底に黒いゼリーみたいなつぶつぶを沈めた抹茶シェイク。なかなかのお味。底のつぶつぶが吸える極太のストローがグッド。

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