チャン・マリーの香港熱病日誌〜2000年黄金週間

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            5.1

そして、ランタオ島


ランチのあと、いったんホテルで親と落ち合ってから、スターフェリーでセントラルに渡る。メーデーは香港の休日とあって、スターフェリーは混み混みだ。地下鉄よりも安いし、海を間近に感じられるのがいい。スターフェリーを降りてまっすぐ行くと広場があって、ここも人でごった返している。そのほとんどすべてがフィリピン人の女性たちだ。ミドリが以前『週刊金曜日』の記事で紹介しているが、彼らは香港人家庭のお手伝いさんで、休日になるとこうして仲間同士で屋根のある駅の通路や広場に集って語らうのだ。しかしそれにしても、すごい数のお手伝いさんである。

午後3時発のランタオ島行きフェリーに乗り込む。1人片道15ドル70セント。船はスターフェリー同様オープンエアーで、湿気をたっぷり含んだ潮風がじっとりと吹きつけて、髪の毛を顔にべったりと張り付ける。客はそれほどいない。野菜を積んだ篭がたくさん乗降口付近に並んでいる。新しい空港が出来たといってもランタオ島はまだ田舎で、ミドリは自分の家も山小屋だと思っていてくれと警告を始める。いやいや、そういうのがわたくしの趣味なんです。
ここらでカメラ持参で用足しに行ってみる。この船もそうだが、なぜか便座が小汚い洋式トイレがどうも多い。ミドリが言うには、ときどき便座に靴の跡が付いているそうな。香港にはいろんな人がひしめき合っている。民族や国籍の多様さ、貧富の差の開き、都市と田舎……。1億総中流意識で経済的成長を遂げてきた日本とは、いろいろと違うはずだ。なんだかんだ言っても公共道徳みたいなものを植え付けられてる日本人としては、一体どのような人がトイレを汚しているのか、とても知りたい。だって汚して平気なその心理とか、逆に汚れを嫌う小生の心理とか、その辺にトイレだけじゃない人々の生き方・考え方の違いがありそうで面白そうでしょ?

↓ナイス・キャッチな接岸風景
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ワンコロの多いランタオ島↑


空港へ続く大橋が見えてきたらもうあと半分くらい。目に入ってくるランタオ島は丘が連なる緑の島で、町らしきものは海岸沿いにちらほら見えるのみだ。この穏やかな島にも今、ディズニーランドの建設計画が持ち上がっているとか。セントラルから1時間ちょっとの船旅で到着。観光客はあまりいない様子で、人々の静かな日常がある。九龍や香港島の喧騒や住宅の狭さを嫌った外国人が、主にランタオ島に越してきたのだという。さっそく港近くのスーパーでミドリは買い出しだ。ミドリ曰く、香港の食料品はほとんどすべてと言っていいほど輸入品で、豊富なフルーツは東南アジアから、お菓子類は日本からという具合だ。彼女のために日本からムース・ポッキーをお土産の一つに持ってきたけれど、きっと探せばその辺にあったりするんだろう。

草いきれの駐車場には、彼女のめちゃくちゃかっこいいランド・ローバーが停まっていた。イギリス軍払い下げを思わせるその簡素かつ頑丈な作りに惚れる。歩兵が座っていたらしき後ろの長椅子に腰掛け、いざ出発する。

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